定冠詞のThe

一般的に、地名や人名などの固有名詞には定冠詞のtheはつけない。例えば地名の「銀座」はGinzaで、「中央区」はChuo, またはChuo City, Chuo Ward, あるいはChuo-kuと言い、「東京都」はTokyoで「日本」はJapanだ。いずれにもtheはつかない。「ロンドン」はLondonだし、「ニューヨーク」はNew Yorkだ。

ここまでは誰も疑問に思わないだろう。

イングランド」も無冠詞でEnglandだし、「スコットランド」も無冠詞でScotland, 「ウェールズ」「北アイルランド」もそれぞれ無冠詞でWales, Northern Irelandだ。

だが、「連合王国」になるとthe United Kingdomと定冠詞のtheがつく。

アメリカ合衆国」もthe United States of Americaと定冠詞をつける。

ここらへんから、冠詞というものを持たない日本語という言語を母語とする私たちの頭の中で、混乱が始まる。

「国の名前は固有名詞でしょう? 固有名詞には冠詞はつけないんじゃなかったっけ?」

そして、「冠詞なんていう細かいこと」は、よほど英語に興味のある人でないと注意を払わない。「細かいことは、まあいいや」とうやむやにして流してしまうと、GinzaやTokyoにもtheをつけるのが英語では正しいんじゃないかという気がしてきたりしてしまうだろう。

だってほら、「イン・ザ・~」でひとまとまりみたいな感じじゃん。「シンギング・イン・ザ・レイン (Singing in the Rain)」っていう曲もあるし、「ダンサー・イン・ザ・ダーク (Dancer in the Dark)」っていう映画もある。数年前に全部閉店しちゃったけど、百貨店の丸井(マルイ)には「イン・ザ・ルーム (In The ROOM)」というインテリア専門館もあった。J-popの曲名にも、「In the Middle」とか「In the Summer」とかいうのがある。そうそう、それと、「アナーキー・イン・ザ・UK (Anarchy in the UK)」。